みんなで映画を楽しもう!バリアフリー映画の活動をするB-map

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突然ですが、クイズから…

次にあげるタイトルや人物の共通項といえば何?

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チャップリン主演・監督の「キッド」や「黄金狂時代」。チャップリンと並んで世界の喜劇王と呼ばれたキートン、エイゼンシュテイン監督の「戦艦ポチョムキン」。日本に目を向ければ、嵐寛寿郎主演の「鞍馬天狗」、田村正和の父でバンツマの愛称で絶大な人気のあった阪東妻三郎…。

答えは、「無声映画」の作品タイトルや、その時代に活躍した大スター達の名前である。

「無声映画」って?

「無声映画」すなわち「サイレント映画」とは、20世紀初頭から 1930年代頃までに作られた、音やセリフのない映画のことであり、日本では大正期まで「活動写真」と呼ばれていた。当時の日本の映画館には、常駐「活動写真弁士(略して、活動弁士または活弁士)」という人がいて、上映時にセリフや筋書き等の「映画解説」が語られた。といっても、映画の邪魔になるような解説であってはいけない。物言わぬ映画に名調子を添え、観衆をぐいぐいと 引き込むのは、もっぱら「活弁士」の語り次第であった。

「無声映画って、バリアフリー映画なんだ!」

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レトロなイメージの無声映画だが、実は 2013年の今でも各地で上映され続けている。しかも、着実 な「進化」を遂げながら!?

プロの活動弁士でもある佐々木亜希子さんが代表のNPO法人「B‐map」は、バリアフリー映画の上映・制作をする団体だが、その方法論はまさに「無声映画」の世界にかつて存在していた様々な文化や技術を、現代のニーズに寄り添いながら蘇らせたものであるともいえる。

「あるとき、無声映画ってそもそも“ バリアフリー ”なんだなって気づいたんです。視覚だけでも楽しめるように作られているし、所々に字幕も入っている。活動弁士はセリフだけでなくストーリーも語るので、聴覚だけでも理解できる。何より、ライブな“ 語り ” で自然と一体感が生まれるので、大人も子どもも、障害のあるなしに関わらず、誰でもが同時に楽しめるんです。」

そう語る佐々木さんは、一見すると清楚で寡黙な印象なのだが、 内に秘める「語りもの」への情熱は並大抵ではない。

B‐mapとは・・・

広く一般市民を対象に映画やアニメの視覚障害者用音声 ガイド、聴覚障害者用字幕などを使用しての情報提供と普及促進に関する事業に取り組んでいるNPO。バリアフリー映画の研究・制作・上映を通して、文化振興と世代間交流に寄与することを目的に活動している。映画を通じて障害者もそうでない人も、子供から大人まで、みんなで一緒に芸術や文化を共有できる共生社会の実現に向けて地域に根差した活動を展開中。

B‐map代表・佐々木さんのライフワーク

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佐々木さんは、小学生の頃は自ら演劇クラブを主宰し、6年生になると先生に直談判して、自習時間に1年生のクラスに出向き、「読み聞かせ」活動を行った。大学卒業後は放送関係の仕事につくが、ニュースキャスターやリポーターといった仕事に飽きたらず、もっと人間臭い、人の琴線に触れるような活動がしたいと思っていた。

そんな頃、職場の先輩に勧められ、活弁付きの無声映画上映会に足を運んだ。もともと古いものや懐かしいものも好きで、伝統芸能を掘り起こして継承していくような活動にも興味があったため、「これだ!」と思った。程なくして会社を辞め、活動弁士修行に打ち込み、プロとなった。

「ある日の上映会で、お年寄りの方から

『昔の無声映画だけじゃなく、今の映画にも活弁を付けてくださいよ』

と言われたんです。

『歳とると目も悪くなるし、最近の映画は難しいのも多いから、活弁付きで説明してもらえると分かりやすいんだけどな…』

とね。」

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ちょうどその頃、知り合いの映画プロデューサーから、大手配給会社による新作のための「活弁技術を応用した音声ガイド」の仕事を依頼された。高齢社会の時代の流れか、その後も同様の依頼は続く。手探りでバリアフリー映画に関わり続けていた頃、NHKの朝の番組で「バリアフリー映画」が紹介され、それが話題となって「バリアフリー映画制作」の講座が開設され、講師をすることになった。

一緒に映画を楽しみたい! B‐mapの夢

「その講座に、バリアフリー映画に興味があり、音声ガイドを作って語りたい、ボランティアもやりたいという健常者の方達がたくさん集まってきたんです。障害を持つ当事者の方達の声ももちろん大事なんですけど、その周りの一般市民の“ 一緒に楽しみたい! ”、というパワーも福祉の推進力となるんですよね。
そこから

“ 団体を作りましょう! ”

という流れに自然になっていったんです。」

そうして生まれたNPO法人Bmapの活動は、「みんなの『バリアフリー映画上映』プロジェクト」として、新宿区の平成24年度・NPO活動資金助成事業の対象にもなった。助成事業終了後もあちこちの団体や施設から声がかかり、日々上映会は行われている。

佐々木さんには夢がある。
大手の新作映画に普通に音声ガイドや字幕がつき、DVD化されるときも当然それらがパッケージされること。
もうひとつは、個々に自宅で大きなテレビで…ではなく、昔の映画館では当たり前の風景だった、笑い声や泣き声で会場に自然な一体感が生まれる「幸せなバリアフリー映画上映会」が、街にあふれることだ。

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昨年は新宿区内の福祉施設としては初めて障害者福祉センターで音声ガイド付きの映画会が開催されました。あゆみの家では、2013年10月25日に佐々木さんの音声ガイド付きで「利用者、保護者、職員、みんなで楽しむ!映画を楽しむ会」が開かれました。