日中プログラムで手刷り暦作り

タグ:

あゆみの家の「手作り暦」といえば、毎年11月のあゆみ祭での販売を楽しみに待っていて下さるファン(コレクター?)も多い、人気商品です。

各グループの特色を生かしながら、日中プログラムの中で製作していますが、実は、あゆみ創業(?)依頼30数年の歴史をもつ、伝統的な由緒ある製作物なのです。

障害があっても「スチレン版画」で自由自在!

あゆみの家が新宿区百人町でスタートしたのは今から42年前の1971年ですが、1977年に西落合の現在の場所に移転してからが、創作活動を中心とした「日中プログラム」の本格的な始まりでした。

当時、障害者の美術プログラムを専門に研究している講師を招いて試行錯誤を重ね、図柄の部分を「スチレン版 画」で製作するスタイルが確立しました。マジックペンで描くだけでも線が彫れる「スチレン版画」は、ハンディキャップがある仲間たちにも扱いやすい創作形態だったのです。

当初は暦の数字部分は「シルクスクリーン」で製作していましたが、その後しばらく「プリントごっこ」の使用 期間を経て、2012年からは、こだまXの利用者による手書き文字をパソコンに取り込み、プリンターで和紙に印刷しています。そこに表紙と12か月分の図柄を4グループそれぞれの特色を生かしながら「スチレン版画」で刷っていきます。

春から秋まで、ていねいに、こつこつと。

製作工程としては、まずは年度初めに「スチレン版」作り。一人につき2〜3枚製作し、黒インクで試し刷りをしたものを皆で品評しながら、1枚を選びます。

その後、刷り上がった作品の「タイトル決め」や、誰の版をどの月にするか、インクの色味をどうするか等を決定し、ようやく本番の「刷り」に入る頃には、すっかり初夏… ということも。
後はひたすら「刷り」の過程を11月ギリギリまで続けます。
各グループによって進め方に個性はありますが、主にスチレン版にインクを乗せていく「ローラー」作業、スチレン版を和紙に刷る「バレン」作業、刷り上がった和紙を廊下に乾かしに行く「運び」作業という、三つの作業をメンバー分業で進めていきます。

今年もコツコツと作り続け、ようやく2014年版も出来上がってきました!グループそれぞれの制作風景とともに、来年の手刷り暦を一挙ご紹介します。

こだまXグループ

calendar

こだまXは、メンバーが実際に作業に関わる度合もほぼ100%。
まずは紙に鉛筆で自由に版下図案を描き、それを手本に自分でスチレン版に写していきます。

そして、作業の特徴はといえば、なんと言ってもAさんとBさんの2トップ!
お二人にローラー作業を任せると、その速いこと速いこと!!
新聞の号外を緊急印刷している輪転機のごとく、猛スピードで回転し続け、次々と仕上がっていきます。

まさに、頼れる熟練工。

CさんとDさんは、全てをそつなくこなす堅実な仕事ぶり。EさんとFさんはバレン作業がお好きな模様。Gさんは、インクで服が汚れるのがお嫌いなようで、エプロンをきっちりしないとお仕事したくないそうです。新人のHさんは、まだ見習い中。まずは得意な車椅子の自走を生かして、「運び」作業を頑張っています。

実は、こだまXのメンバーが一番苦手なのが、その「運び」作業。来年の目標は、しっかり紙の端っこをつまんで、シワもインクも付けずに乾かす場所まで運んで持っていくこと…だそうな?

温泉グループ

roler

温泉グループのモットーはとえば、「遊びながらやる!」。
特に、男性陣はそれが座右の銘。お仕事だからと深刻になりすぎても、結果いいことなし。眠くなっちゃうのも当たりまえ。ウトウトしてきたなぁ~と思っ たら、「『運び』やりまーす!」と、用はないけど2階までエレベーターで上がって、あおぞらとこだまXの様子でも…。んー、みんながんばってるね~と 、確認したら降りてきて、 1階廊下の窓ガラスの前に和紙を吊して…、さあ、ちょっと目が覚めてきたかな?

ところが、女性陣は違います。全員、お仕事が大好き!
あまりにもローラー作業が大好きで、嬉しくってぴょんぴょん跳ねちゃう人もいますが、大抵は声も出さずに集中しています。仕事がしやすいように、器具も体勢も工夫してあるので、仕上げはバッチリ!
「男性陣~、『運び』お願いしまーす!」…ちょっと「髪結いの亭主」な男性陣です。

新人のGさんは、さてそんな男性陣の伝統を受け継ぐのか、はたまた女性陣に影響を受け名職人と化すか?今はじっくり双方見極め中…といったところです。

あおぞらグループ

sagyou

あおぞらグループのモットーは、「絆」。
今や、あちこちで目にするモットーですが、このグループほど「絆」という言葉が似合うところはないかもしれません。そう、利用者さんと支援員の間の「絆」です。それぞれ個性的で元気いっぱいなグループなので、一瞬の隙に繰り広げられる豪快な武勇伝(?)にも、ことかきません。

あおぞらグループの名物手刷り担当、石原支援員が噛みしめるように語ってくれました。

「最初は、利用者さんがどうしても作業をしてくれなかったり、ローラーを投げようとしたりと、正直、とても悩むことも多かったんです。でも、お互いにインクだらけになりながら毎回向きあっていくうちに、あるときから…利用者さんが持つローラーに手を添えながら、一緒に転がすんですが、『ローラーに心が乗ってきた!』と思う瞬間がおとずれたんです。
ローラーを投げようとする気配もなく、静かに心をこめて動かしている。今ではもう、ローラーを転がすたびに、利用者さんと支援員の想いが乗ったインクが拡がっていくような気がするんです。」
新人の中村さんも、そんな空気を感じてか、いまではすっかり溶け込んで、バレンを触るのが大好きになっています。

サンサングループ

suri

サンサングループが大切にしていることは、「出来る動きをいかすこと」。
肘を外側に動かすことが得意な人、ひもを掴んでひっぱる動きが好きな人、おなかの上に置いて手を動かすのがラクな人、調子が良いとハンコをポンポン押してくれる人…。メンバーそれぞれの様々な「出来る動き」にあわせて、支援員がお手伝いしながら、ゆっくりあせらず作業しています。
その日の調子で、出来る人がゆっくりゆっくり、それはそれは丁寧に作業するので、時には午前中に「2、3枚」だけ、ということも…でも、それでいいんです。
焦らず比べず、のんびりマイペースが一番!

そんなこんなで待ち時間がたくさんあるので、個別活動で絵画制作やボール遊び、体操をする人もいます。
もちろん、いつも真剣にローラーを動かしてくれる人もいます。

笑い声がとっても可愛らしい新人のMさんは、「テーブルの上のものを落とす」のが大好き。
その動きを生かした作業が出来ないものかと、支援員も試行錯誤しつつ、独自の作業を開発中(?)です。